「劇場版TRICKラストステージ」ってもう6年も前なんだ・・・
名作ドラマ「TRICK]が終了してもう17年になる。
私と同じく現在アラフォーのオタクはよくご存じだと思うが、このドラマは仲間由紀恵と阿部寛が織りなすミステリーともオカルトともギャグともつかない独特の世界観で大変面白かった。
誰しも若い頃に経験した記憶はハッキリしているし最近のことほどぼやけているが、
このドラマが放送されていた頃は自分はだいたい20代前半くらいだったはずなのでよく覚えている。
今日は、Amazonでなんとなく見た「劇場版TRICKラストステージ」について書きたい。
初期シリーズとのオーバーラップが嬉しい
この映画で山田と上田が赤道直下にある「赤道スンガイ共和国」に旅立つ。
もうこの時点で面白い。
ドラマシリーズ1の「母の泉」編に登場した怪しい教祖「霧島澄子」は俳優の菅井きんさんが演じていたが、思いっきりこれが元ネタである。
霧島澄子は他の映画でもちょくちょく名前や裏設定が繋がっていて何気に登場回数が多いキャラクターだが、とうとう国の名前にまでなってしまった。
実はこの国自体も、ドラマで死んだはずの霧島澄子が実は生き延びていて、「スンガイ=キン」という別人を装い国を建設したという設定になっている。
その証拠に空港や店などあちこちに彼女の肖像画が飾られているし、国民も手でハートを作って「オッカアサマー」と唱えているのだが山田と上田は気づかない。
もう遠い昔のこと過ぎて忘れてしまっているのかもしれないが、アレは記念すべき2人の初事件である。
視聴者にとっては勿論嬉しいし、現地の人たちに「オッカアサマー」をどう説明してやって貰ったのか想像するだけでニヤニヤしてしまった。
さらにラストでは、第一話で山田と上田が出会ったシーンが再現されている。
上田が「インチキ霊能力者を見破る」という名目で人を集め、最後に山田奈央子が登場する。
山田は例の封筒と100円玉のマジックで上田を騙し「私は本物です」と言う。
勿論、初めて会った時と違い上田はこのマジックのタネを知っているし、そもそも霊能力者を集めたのも1度目とは違う目的がある。
死んだはずの山田が帰って来て、「私は本物です」と言うのを涙目で見つめる上田に二人が歩いてきた約13年間の重みが凝縮されていた。
このラストは、実に良かった。
石原達也刑事の登場が謎
もう一つ古くからのファンをニヤリとさせたのが石原達也刑事の登場だろう。
石原刑事を演じた前原一輝さんはこの頃既に役者を引退していたが、スピンオフドラマ「警部補 矢部謙三」では少しだけカムバックしていたらしい。
自分はこのドラマを見ていないが、幸いAmazonプライムに入っているのを見つけたのでそのうちチェックしたいと思っている。
個人的には矢部の歴代部下の中で一番好きだったし、矢部との掛け合いも面白かった。
矢部が強い関西弁を喋る横で下手な広島弁を喋るキャラクターというのは、考えてみると濃すぎる気もするが不思議と気にならなかった。
むしろ矢部のカツラと石原の不自然な金髪の方に目が行ってしまっていた。
この映画のラストシーンでも自称霊能力者たちに交じってひたすら「アニイ!」と叫ぶだけの謎キャラとして登場していたが、一体なにがしたかったのだろうか。
そして、上田も完全に彼の存在を忘れてしまったのだろうか・・・。
少しくらい会話があっても良かったと思うのだが、上田はあっさり「もう帰って結構ですよ」と目も合わせずに告げるのでますます彼の登場の意味がわからなくなる。
ただ再登場させたかったにしても、どうせ使うならもう少し意味のある使い方をして欲しかった。
時事ネタが懐かしい
「TRICK」の楽しみの一つに時事ネタがある。
この映画の中でも、『履いてるサンダルの教室!』や『SP●●Kホルダーに違いない!』など所々に小ネタとして登場する。
自分は個人的に時事ネタが大好きだ。
リアルタイムで見る場合は勿論面白いし、ネタが古くなって「これってなんだっけ?」と既に忘れられた頃に見ても「そんなのあったなー」と懐かしい気分に浸れる。
同じく時事ネタが満載の映画「鷹の爪シリーズ」でも、今の若い人が見たら何のことやらさっぱり分からないようなネタが山ほど登場する。
人の記憶には濃淡があるからすぐに思い出せるネタとそうでないネタがあるが、意外とこういうストーリーの中で使われるものは思い出しやすい。
自分が若い頃に起こった事件などなら猶更だ。
鬼塚ちひろの「月光」を熱唱した
私と同じくらいの年齢のオタクには定番だった曲の一つが「月光」だ。
他にはポルノグラフィティの「アゲハ蝶」や天野月子の「菩提樹」などがあるが、それはまた別の機会にするとして。
自分も例に漏れず、カラオケに行けば一回は歌っていたと思う。
そして友達も歌っていた。
曲調がゆっくりだし音程も丁度いいので、そんなに歌に自信がない人間にも歌いやすいというのがこの歌の良いところである。
子供が歌いやすい歌が流行るのと同じで、オタクにも歌いやすい歌の方が恐らく市場浸透率は高い。
ドラマの主題歌は同じく鬼塚ちひろの「流星群」を始めいくつか変わったが、この映画のラストでは懐かしい「月光」が流れる。
上にも書いた山田と上田の出会いのシーンと同じく最初に戻ることで、不思議なことに曲を聴きながら「もう本当にこれで最後なんだな」と腑に落ちた。
そして、もう一度ドラマを最初から見たくなった。