犬好きの日記

犬好きが書くブログ。特に犬の話をするわけではない。

魔神ぐり子「楽屋裏-講談社地獄篇-」

魔神ぐり子さんという漫画家さんがいらっしゃってですね。

ええまあ、自分大好きなんですわこの方。

今は懐かしき「ドラクエ4コマ」でデビューされた方の一人で、その後も主に4コママンガを中心に、いろいろな雑誌で描き続けていらっしゃるベテラン作家である。

私と同世代のオタクは恐らく10人中6人くらいは知っていて然るべきだが、「自分は見た事ない、そんな人は知らない!関わり合いにならないでくれ!」という方は、ちょっと兄弟とか友達に聞いてみて欲しい。

絶対一人くらいは、心当たりのあるヤツがいるはずである。

そんなわけで、知ってる人も知らない人も、ちょっとぐり子について語りましょうや。

「楽屋裏~講談社地獄篇~」ってどんな内容?

楽屋裏 -講談社地獄篇- (ワイドKC)

楽屋裏 -講談社地獄篇- (ワイドKC)

 

 魔神ぐり子先生が一番最近出された単行本がこれである。

「楽屋裏~講談社地獄篇~」というタイトルの通り、講談社から出ている。

講談社と言えば、私と同じくらいのアラフォー女性の約半数は通ってきたであろう「なかよし」を出版していた会社である。

『少女時代に「なかよし」を選ぶか、それとも「りぼん」を選ぶかで、その後の人生が大きく分かれる』との説がまことしやかに囁かれていたが、まあその話は置いておいて。

講談社と言えば、「なかよし」や「モーニング」などのマンガ雑誌以外にも、「With」や「ViVi」などのファッション誌や、真面目なところでは「週刊現代」や「小説現代」なども発行している大手出版社だ。

さぞかしお堅い会社かと思いきや、このタイトルを許すあたり割とユーモアのある会社なのかもしれない。

 

この「楽屋裏」というタイトルの歴史は長い。

それこそドラクエ四コマのあとがきから始まり、スクエアエニックスお家騒動を経てからは一迅社で長年連載され、終了してから約4年後の2018年に講談社で連載が開始された。

満を持しての復活である。

何故そんな事になったのかというと、一迅社魔神ぐり子先生の担当をしていた元編集長の小柳氏が講談社に転職し、その縁で連載の話が持ち上がったらしい。

やはり人の縁とは大事なものである。

内容は、魔神ぐり子先生の日常に起こったことが得意のハイテンションなギャグセンスで面白おかしく描かれており、どこまでが本当でどこまでが誇張なのか判断しにくいところが魅力である。

「楽屋裏」というタイトルが示す通り、マンガ業界の関係者にウケが良いらしく、有名な先生がたが帯の推薦文を書いていたり、小柳氏の編集仲間から励ましの声が掛かる事がよくあるらしい。

もちろん業界関係者でなくても楽しめるので、かつてドラクエ四コマやドラクエ1Pコミック劇場で魔神ぐり子先生を覚えている方は、是非読んでみる事をオススメする。

魔神ぐり子さんのここが凄い!

自分と魔神ぐり子先生の付き合いは長い。

とは言っても、もちろん直接知り合いな訳ではなく、あくまでも作家と読者としてである。

ドラクエ4コマのデビュー時に初めて読んで衝撃を受け、ドラクエブームが落ち着いてからは、火の玉コミックスや4コマ雑誌などあちこちで先生の作品に触れて生きてきた。

ちなみに「火の玉コミックスってなんじゃい?」というお若い方のために一応補足すると、かつて様々なゲームタイトルの4コマやアンソロジーを公式出版していたレーベルである(格闘、RPG、オチゲーなどもあった)。

これが自分のような「骨の髄までゲーマーという訳ではないけれど、マンガもゲームもどちらも好きなハイブリッドオタク」には非常に喜ばれ、本屋で目にするとついつい買ってしまいたくなったものだ。

勿論中身は確認しようがないためアンソロジーという性質上、全部が全部気に入る内容なはずもなく、「鬼が出るか蛇が出るか」それは読んでからのお楽しみであり、値段分の価値があるかは運まかせだった(一冊の値段が結構高かった)。

そんな感じであるから、背表紙の作家一覧に「魔神ぐり子」と書かれていると、一種の安心感を持てたものだ。

「この人の作品なら間違いない」と信じ、そして期待が裏切られた事がない。

時にはまったくやったことのないゲームなのに、作家買いしてしまった事もあった。

 

魔神ぐり子先生の何がそんなに良いかと言うと、まずその絵柄だ。

上手いのである。

少女漫画のキラキラさと、少年漫画のシャープさが程よくミックスされ、流れるような綺麗な線で描かれている。

4コマ出身だからか、変にクセがなくシンプルで見やすい。

絵柄というのは、好みなり尊敬なり目標なり、作家さんが歩まれてきた歴史が如実に反映されるものだと考えるが、この方の絵柄はあまり類似例がない。

先生に影響を受けたファンは多いと思うのだが、真似がしづらい画風なのか、先にも後にもいないのである。

流行りに流されない独特の描き方で、個性がにじみ出ており、一目で「あ、魔神さんだ」とわかるのである。

そんな明るく綺麗な絵柄で、テンションが天元突破したようなギャグストーリーが繰り広げられるのだ。

しかもただ綺麗なだけでなく、変顔などで抜くべきところは抜いてくるので、とにかく飽きさせない。

これで癖にならないわけがない。

近年の連載が主に女性誌であるにもかかわらず、ファン層に男性が多いのもうなづける。

人生のどこかで一度でもぐり子の魅力にハマってしまうと、生涯抜け出し辛くなるのであろう。

魔神ぐり子さんがインタビューに答えてらっしゃる

なんでこの記事を書こうと思ったかというと、これである。

長年ぐり子先生を追ってきた自分であるが、あまりインタビューに答えているのを見た記憶がない。

自分が知らないだけで実はよく答えていたのかもしれないが、とりあえず見たのはこれが初めてなのだ。

magmix.jp

現在も連載を持っておられる他、企画もいくつか動いているようなので、ファンとしては嬉しい限りである。

どうか気力と体力の許す限り、なるべく長く作家活動を続けて欲しい。

そのためにも、自分はぐり子のタニマチになりたい。 

これまで通り、「コミックスが出たと思ったら、その時にはすでにレジで精算が完了している」くらいのつもりで生きていこうと思う。

残念ながら「楽屋裏-講談社地獄篇-」は連載終了し、今のところ続編の話は聞かないが、こちらもまたどこかで復活してくれることを願う。

 

 

ところで、ドラクエ4コマ「どこまで嘘か本当かわからない業界マンガ」というくくりで思い出したのだが、自分は柴田亜美先生の「ドキばぐ」というシリーズも好きだった。

そういえばこの先生もその昔「なかよし」で、講談社の編集者たちが悪役として登場するという、気の狂ったマンガを連載されていたので、別に講談社はお堅くもなんともなかった。

自分の勘違いだった。

楽屋裏 -講談社地獄篇- (ワイドKC)

楽屋裏 -講談社地獄篇- (ワイドKC)